「教育社会学」ってなんだろう?
このサイトでは、現代社会と教育に関する本を紹介しているのですが、あらためて読み返してみると、教育社会学者たちの仕事に言及することが多い気がします。ということで(もないですが)、教育社会学ってどんな分野なんだろうという人向けに、入門書をいくつか紹介してみたいと思います。
○日本人研究者が書いた入門書
(1)柴野昌山ほか編『教育社会学』有斐閣、1992年。
(2)苅谷剛彦ほか編『教育の社会学─「常識」の問い方、見直し方』有斐閣、2000年。
(3)柴野昌山ほか編『リーディングス日本の社会学16教育』東京大学出版会、1986年。
(4)井上俊ほか編『岩波講座 現代社会学12 こどもと教育の社会学』岩波書店、1996年。
(5)柴野昌山編『文化伝達の社会学』世界思想社、2001年。
(1)、(2)は大学の講義用につくられた教科書のようです。好みの問題ですが、苅谷さんたちの本のほうが、取っつきやすいかもしれません(二つの本のトーンの違いは、その間の大学生気質の変化を反映しているようにも思えて、興味深いです)。
(3)は、教育社会学の主要な業績を掲載したリーディングス。(4)は教育社会学者以外の論考も多いですが、現代的な教育問題に対するものの見方をおさらいするには良い本です(以前このサイトでも紹介しました)。(5)は、知識や規範の伝達・獲得という現象に焦点をあてた(教育)社会学的な論考が収められています。ルーマン、マイヤー、ブルデュー、エスノメソドロジー、ジェンダー論、バーンスティンなどなど、現代(教育)社会学理論をもちいた教育分析の具体的な成果を知るには良いでしょう。
○海外の研究動向が分かる本(翻訳もの)
(1)藤田英典ほか編著『変動社会のなかの教育・知識・権力』新曜社、2000年
(2)カラベルほか編著『教育と社会変動 教育社会学のパラダイム展開(上・下)』東京大学出版会、1980年(原著は1977年)。
(3)A.Hハルゼーほか編著『教育社会学 第三のソリューション』九州大学出版会、2005年(原著は1997年)。
(1)は、はしがきによれば、1999年に教育社会学会の創設50周年を記念して開催された国際カンファレンスの内容をまとめた本のようです。日本と海外の研究者の論文が収録されています。(2)、(3)は、イギリスの教育社会学者が編んだリーディングス。いずれも抄訳のようです。最近訳書がでた(3)はなかなか良い本で、とくに序章は戦後イギリスの教育社会学の学説史が、かの国の社会構造の変動過程とあわせて論じられていて、この章を読むだけで、教育社会学という学問がどのような問題意識を持っているのかが分かります。
他にもいろいろあるようですが、すべてをあげてもきりがないので、このへんで。まあ、特定の学問体系にこだわる必要はないかと思いますが、まとめ読みをすると、教育業界で生じるいろんな現象の見え方が変わってくるのかもしれません。


Comments
最近あわただしくしていて、お返事が遅れてしまいました。コメントどうもありがとうございます。
「現場も研究もお互い開かれたものになればいい」というのはまったく同感です。
最近は、教育社会学の学会誌の特集で、臨床の重要性が取り上げられていたりしていて、いぜんと比べると現場の人々との交流や協同がさかんになっているようです。理論を大事にしながら、現場とつながれるといいですよね。
なんだかまとまりがありませんが、このへんで。
Posted by: ebony | May 24, 2005 at 12:04 AM
こんばんは、はじめまして★
実は今コメントを書いたのに消えてしまって(2回)、何書いたか忘れてしまいました(汗)。すみません><
教育社会学を学んできた私にとって、嬉しいブログを見つけたという感じです。
教育現場からすると、教育社会学なんて役に立たない学問だと思われがちだけれど・・・現場も研究もお互いに開かれたものになればいいなと思います。
「現象の見え方が変わってくる」というのは、本当に社会学に課せられた、「新たな視点の提供」という使命だと思います。
というようなことを書いたような気がしますぅ。
ではでは♪
Posted by: ゆう | April 30, 2005 at 12:33 AM