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November 23, 2005

ひとこと感想『下流社会』

 こんにちは。まとまった文章を書こうとすると、更新が滞ったままになりそうなので、あまり考えずに読後感を書くことにします(こんな記事ばっかりになりそうな)。

 三浦展『下流社会』(光文社新書、2005年)。ベストセラーとしてあちこちで言及されている本なので、内容については触れませんが、ネーミングの秀逸さ、図式のわかりやすさが売りの本です。ただ、この本を読むときに注意したいのは、所属する階層意識をもとに、「下流」の操作的定義がなされているにも関わらず、あたかも共通する社会経済的な属性を持つ集団であるかのようにして議論が展開している箇所が見られることだと思います(もちろん、筆者はそのことを自覚しているわけですが、誤読されかねない表現が多い)。

 もちろん、階層所属意識そのものを議論することは重要ですし、意識と社会経済的な属性の間には対応関係があることも確かなのですが、階層意識論が、実体的な階層をめぐる議論と混同されるとかえって問題の所在が見えなくなってしまうような気がしました。

 それから、統計データやインタビューをもとに、いくつかの「典型」が描かれる際に、「下流」に属する集団はみな同じような特性を持つかのように描かれている点にも留意する必要があるように思いました(もちろんそれが「典型」の果たす機能ですが)。

 と、書いているうちに一言ではなくなってきたのでこのへんにしますが、こうした点を差し引いて読む必要があるとしても、「階層の二極化」(が進行しているかどうかは、今年実施されているSSM調査の結果を待つ必要がありますが)が人々の社会認識に与える影響を探るためのさまざまな論点が示されている点では、学ぶ点が多い本です。

 

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