March 07, 2006

変わっててもいいじゃん

 このところ「最近の若者は…」の後には否定的な言辞が続くのが常だ(予断)。だいたい世間の大人たちが、年少世代を「最近の若者」とひとくくりにしてしまう点が問題である(憶測)。それだけならまだしも、限定された範囲で見聞きしたことや大上段に振りかぶった議論の影響を受けて、自分たちとの違いをことさらに強調し、若者のすべてを「悪しき存在」として断罪するのは心が病んでいるとしか思えない(誇張)。若者に対するバッシングを諫める議論もあるけれど、だれもそんなことを聞いちゃいやしない。まさにそのことこそ、国際化・情報化・高度資本主義化・少子高齢化・脳のトレーニングに役立つゲーム脳化が急速に進む我が国の社会病理ではないのか(紋切型)。ああ、嘆かわしい…。

 でもよく考えてみると、僕たちはさしたる根拠もなしに、若者を叩くことに躍起になっているだけじゃないの?

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March 02, 2006

あなたって、そんな人だったの?

 しばらく連絡を取っていない友達にメールを送る。よく一緒につるんでいたころの昔のあれこれを思い浮かべながら書いた文章に返事がくるまでのあいだ、どこか落ち着かない気持ちになる。僕はいまでもきみと気持ちが通じ合っているように考えているんだけど、きみはそう思っているのだろうか?  メールに書いた過去のエピソードに登場するきみや僕の振る舞い、そこからうかがえるそれぞれの人となりは、もしかすると僕の勝手な思いこみが生み出した幻想に過ぎないのかもしれない。
 そんなことをぼんやりと考えながら受信メールのチェックを繰り返していると、きみからの返事が届いていることに気づく。…うん、きみはやっぱり変っていないようだ。このめまぐるしく変化する世知辛い世の中で、僕らはなんとか友情を維持しているらしい。

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February 13, 2006

面白かった本/面白そうな本

 季刊状態のこのサイト、忙しさを言い訳に更新をすっかりさぼっていました。他の人のブログをみているだけで幸せ…という気持ちが強くなってきたので、店じまいしようかとも思うのですが、でもまあせっかくなので、しばらくは備忘録的に使おうかなと気を取り直しました。自分のためのメモを公開してどうするのという気もするのですが、もともと訪問者も少ないので、ゆるい感じで続けることにしました。

 というわけで、最近読んだなかで面白かった本と、これから読もうかなと考えている本のご紹介です。

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November 23, 2005

ひとこと感想『下流社会』

 こんにちは。まとまった文章を書こうとすると、更新が滞ったままになりそうなので、あまり考えずに読後感を書くことにします(こんな記事ばっかりになりそうな)。

 三浦展『下流社会』(光文社新書、2005年)。ベストセラーとしてあちこちで言及されている本なので、内容については触れませんが、ネーミングの秀逸さ、図式のわかりやすさが売りの本です。ただ、この本を読むときに注意したいのは、所属する階層意識をもとに、「下流」の操作的定義がなされているにも関わらず、あたかも共通する社会経済的な属性を持つ集団であるかのようにして議論が展開している箇所が見られることだと思います(もちろん、筆者はそのことを自覚しているわけですが、誤読されかねない表現が多い)。

 もちろん、階層所属意識そのものを議論することは重要ですし、意識と社会経済的な属性の間には対応関係があることも確かなのですが、階層意識論が、実体的な階層をめぐる議論と混同されるとかえって問題の所在が見えなくなってしまうような気がしました。

 それから、統計データやインタビューをもとに、いくつかの「典型」が描かれる際に、「下流」に属する集団はみな同じような特性を持つかのように描かれている点にも留意する必要があるように思いました(もちろんそれが「典型」の果たす機能ですが)。

 と、書いているうちに一言ではなくなってきたのでこのへんにしますが、こうした点を差し引いて読む必要があるとしても、「階層の二極化」(が進行しているかどうかは、今年実施されているSSM調査の結果を待つ必要がありますが)が人々の社会認識に与える影響を探るためのさまざまな論点が示されている点では、学ぶ点が多い本です。

 

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July 15, 2005

地元で生きる、ということ。

 お久しぶりです(誰に向かって言っているのやら)。最近、忙しさと夏風邪にやられて更新が滞っていましたが、感想と励ましのメールをいただき、重い腰をあげることにしました(単純ですね)。

 それはさておき、少しだけじぶんの昔話をさせてください。僕は地方の出身で、学生時代を東京で過ごしていたのですが、上京してしばらくのあいだ、出身県関連の財団が運営していた寮に住んでました。

 そこは県のカラーがむちゃくちゃ濃い寮で、休憩室のテーブルには寮生の実家から送られてきた県産品のおすそわけが(ほぼ)常備され、ここに入った者は、我が県のシンボルともいうべき伝統芸能を習得しなければならない、という暗黙のルールまであったのでした。

 風呂・トイレ共有、掃除当番あり、2食昼寝つき・格安家賃・飲み会多数のこの寮、地方から身一つで花の都・大東京にやってきた僕にとっては、かなり居心地のよいところでした。しかし、残念なことに通っている学校から遠く、電車通学に嫌気がさして半年くらいで引っ越すことに。なかば仮住まいといった感じでしたが、そこで遭遇した人々はいまでも印象に残っています。

 吉川徹さんの『学歴社会のローカル・トラック』世界思想社、2001年を読んだときに、まっさきに思い浮かんだのが、この寮での生活でした。地方からはるばる上京してきた寮生が、身を寄せ合って(というにはあまりにも騒々しい生活でしたが)一つ屋根の下で過ごす。東京の大学で学び、あれこれの経験を積んだあと、再び地元に帰ってゆく。ああ、そうか、あの寮で形成される過剰なまでの地元意識は、この本で言うところの「ローカル・トラック」の制御を試みる戦略がもたらしたものかもしれないな。

 と、そんなことを書いても、同書を読んだことがない人は何のことだか分からないと思うので、ちょっとだけ本文を引用してみよう。

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May 29, 2005

すきまとあいだのあわいに

 僕たちが何かを教え(教わり)、あるいは学ぶときに、教育者と学習者に介在し、両者をなかだちするものがある。黒板と教科書、壁掛け地図に人体模型。OHPで映し出された写真やグラフ、各種の辞書や副読本たち。

 そんな学校らしいアイテムを想記するまでもなく、言葉や身振りを介さずにものごとを伝え・理解することの難しさを考えてみれば、あいだを取り持つ何かがなければ、教育という営みが成立しないことが分かるだろう。

 ベンヤミンを手がかりに近代教育思想の可能性と限界を模索してきた教育研究者、今井康雄さんの『メディアの教育学』(東京大学出版会、2004年)は、「中間にあって作用するもの」(同書、p.1)としてのメディアに光をあて、「メディア自体の持つ『教育学』を教育学的考察のなかに組み込もうとする試み」(p.1)を示した本である。

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April 19, 2005

学校のできごとを知る、ということ

 きょうはやや古めの本の紹介です。最近は学校論からやや遠ざかった感があるけれども、小浜逸郎さんが80年代から90年代の半ばまでに展開した議論を知っているかどうかで、教育ギョーカイの風景の見え方や問題の捉え方は、だいぶ変わってくるように思う。

 小浜さんの仕事を乱暴にまとめると、教育の世界に蔓延している理念的な思想(その多くは空疎なほどに美しい)を取り上げ、ありのまんまのぱっとしない「現実」のなかで、それがどのくらいの力を持つものなのかを吟味してゆく、ということになるだろう。

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April 13, 2005

「教育社会学」ってなんだろう?

 このサイトでは、現代社会と教育に関する本を紹介しているのですが、あらためて読み返してみると、教育社会学者たちの仕事に言及することが多い気がします。ということで(もないですが)、教育社会学ってどんな分野なんだろうという人向けに、入門書をいくつか紹介してみたいと思います。

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April 12, 2005

数字に弱いあなたへ

 少し毛色の違った本の紹介です。仕事がら、パソコンをあれこれいじって、もっともらしい調査分析レポートを作成することがよくあるのですが、文系出身の僕にとっては統計学を理解するのはなかなか骨で、いまでも付け焼き刃の知識にすがりながら、どうにかこうにか暮らしています。

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April 11, 2005

教師たちのつぶやき

 教育解放研究会『学校のことば 教師のことば』(東方出版、1994)年は、教師たちが学校でつかうことばを取り上げながら、学校らしさや教師くささについて考えてゆくというスタイルの本である。

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